東京の動物病院で働く獣医師、鹿間一成(しかま かずなり)は院長を殴打する事件を起こしてしまい、勤務先の病院を追われ、更には妻も家を出てしまう。一成は妻の連れ子で10歳になる諷子(ふうこ)と共に、両親を亡くした彼を育ててくれた信州の伯父夫婦の家を訪ね、そこで動物診療所をはじめることになるが…。諷子の同級生、さとみが飼っている猫のユラには霊感があるという。さとみの寝室には時々お化けが出てとても怖い思いをするのだが、その時は決まってユラが助けに来てくれるというのだ。クラスメイトたちに、さとみの話を確かめるように言われた諷子は彼女の家に泊まり、その時の様子を一成に話した。すると一成は諷子の話の中にユラの異変を感じ取るのであった。ユラの身に何が?そして一人で夜を過ごす怖さとユラを失うかもしれない怖さ、2つの恐さの板挟みの中でさとみの出した結論は?その他、母を失った子狐が里に下り、そこで新たな母親と出会うがその母親は…「母ちゃん」、幼少の頃、犬に襲われたのがきっかけで犬嫌いになった少年。時が経ち、既に老犬となったその犬に仕返しをしようとするのだったが…「犬ぎらい」、祖父の袈裟次郎と一緒に山に入った諷子はそこで冬に備えて身を寄せ会う動物たちに出会う…「冬を越すために」等。田舎の暮らしと自然との関わり、そして昨今話題に上がる親子の絆…小山田いくが淡々と描く名作第7巻。小山田いく先生の当時の単行本コメント『猫は敏感で、予知に近い能力を持っているとも言われています。そこで、家の猫たちが何か変わった行動をとるたびに、メモをしたりしているのですが、未だかつて何か起きたためしがありません。飼い主に似て、家の猫はみんなただのボケ猫です。』