立花伊織は女に不自由したことがない。その実体験を元に官能小説を書いてみればデビューとなり、発表する作品は人気を博し、金遣いは派手になった。しかし、ある理由からぱったりと筆が進まなくなり、療養の地として温泉宿へやって来たのだが…。昔馴染みの女将に紹介された仲居の壮馬は、可愛らしい顔をしていた。だが男だ。せめて女だったらよかったのに――そこで脳裏に浮かんだのは、昼間見かけた、美しい踊り子の姿だった。あの子なら、もしかしたら俺の悩みを…。そう思い探して始めたものの、なかなか彼女は見つからない。困り果てた伊織が壮馬に尋ねてみれば、知っているが教えられないという。それは壮馬の秘密に直結していて……!?