美しいだけのものなどいらない。<br />不吉な塊が心を終始おさえつけていた──。<br />なぜ人間は見すぼらしく壊れたものに魅きつけられるのか? 梶井基次郎は生涯死と隣合わせに生きながら、表題の『檸檬』をはじめ『桜の樹の下には』『冬の蝿』などで、そんな人間の心の深淵を詩情豊かに表現し続けた──。<br />「近代日本文学の古典」とも言われる小品群をあわせて漫画化。<br />