大正十二年。<br />若くして伯爵家の当主となった黒木は、晩餐会でかつての学友・有馬と再会する。<br />浮いた噂が絶えず、気まぐれな有馬と過ごすうち、どうしようもなく彼に惹かれていく黒木。<br />しかし、家のために生きるしかない自分には、恋をする自由などないことも、痛いほどわかっていた。<br />募る想いを押し殺すうち、歪んでいく恋心。<br />それでも有馬との消えない繋がりを求める黒木は――。<br />