先日亡くなった祖母の銀行口座には長年、巨額のお金がヴェネツィアのある男から振り込まれていた。<br />――その真相を突きとめるため、ヴェネツィアにやってきたメレディスを出迎えたのは銀行家のルチェンツォ――まるで絵画から抜け出てきたようなゴージャスな男性にメレディスは目を見張った。<br />しかし、これ以上ないほどの憎しみをたたえた黒い瞳に軽蔑の色を浮かべ、彼は言いはなった。<br />「すぐに帰れ!」戸惑うメレディスだったが、思いがけない真実を知ることになる――。<br />