ベヴィンは襲いかかる不幸の数々に頭を悩ませていた。<br />父親が亡くなり遺産の相続権は意地悪い継母のものに。<br />遺言内容が確定されたら家から追い出されてしまう。<br />おまけにひどい風邪までひいてしまい、もう散々だ。<br />そして寒い冬の金曜日、自活資金を稼ぐために病気を押して街頭アンケートの仕事をしていたベヴィンだが、声を掛けた紳士の胸についに倒れ込んでしまった。<br />痛ましいベヴィンはまだ知らない。<br />彼が彼女の今後の人生を左右する、重要な人物だということに――。<br />