長崎、丸山遊郭。<br />そこは日本で唯一、異国の客を相手にする女郎屋が軒を連ねていた。<br />丸山遊郭の名店<銀波楼(ぎんぱろう)>で生まれ育ち、下働きをする阿蘭(おらん)は幼いころから頭に鉢をかぶせられ、顔を隠すことを強いられていた。<br />それは、阿蘭の顔を見た者に災厄が訪れるためだという。<br />阿蘭のもとにはいつしかいわくつきの遊女が集まり……。<br />