それは大正の初め頃のこと。<br />名門政治家一族である永山家待望の長男・千秋は、父親の政治家としての訓示を受け入れられず、日々吉原は桜花楼に通い詰めていた。<br />ある日、庭先で父親と仲睦まじく話す書生の孝一を見かけ、千秋はふと純真無垢な彼を馴染みの店に連れ出すことを思いつき――?