田宮優也は怯えていた。<br />玄関の扉を開けると、妻の愛衣が夕食を作っている。<br />そしてテーブルにはアザレアの花が飾ってある。<br />ごく普通の日常であり和やかな新婚家庭のはず。<br />しかし優也は怯えていた。<br />なぜなら、数日前に愛衣を殺していた。<br />死んだはずの愛衣が目の前で料理を作っている。<br />何もなかったように。<br />殺されたことを否定するかのように。<br />愛憎と怨霊渦巻く呪われた物語。<br />愛が深ければ深いほど恨みは増幅される。<br />戦慄のホラー。<br />