時は文政8年、吉原「十文字楼」に座敷持ちの花魁、梅桃(ゆすら)がいた。<br />美女の誉れ高い梅桃は、好き嫌いが激しく、ずぼらな性格ではあるが、面倒見の良い面も合わせ持っている。<br />そんな梅桃には、特殊な能力があった。<br />それは、一緒に寝ている他人の夢の中に入り、自分が思い描いたとおりの夢を見せられるという能力であった……。<br />