母の村には胡散臭い伝承がある。<br />「サダオ」が涙を流すと雨が降る、という言い伝えだ。<br />祖父が亡くなり、当代となった池田サダオは馬鹿げた迷信だとばかり思っていたが、転校先で知り合った、クラスメートの沼之端灯(ぬまのはたともる)に出会ってから認めざるを得ない天候が続き、やがて……。<br />