同人イベントのあと、あの喫茶店のテーブルには、漫画を描く人が4人いた。<br />時を経て、漫画を描き続けているのはプロの漫画家となった千畝ただひとりとなった。<br />心の中でくすぶり続ける、同人時代の憧憬、情熱、そこにあった原点。<br />そんなある日、もう描かなくなった憧れの人と街中で出逢う。<br />同人誌の世界を舞台に、人生の岐路に立つ女性たちの気持ちが、優しく切なく静かに染み渡る、表題作「結んで放して」を含む、珠玉の短編集。<br />