2人で愛しあうのなら
暗い夜空を彩る青い月は、恋の誘惑。
輝く星は、恋人の瞳。
だから、きらきらした夜が好き。
月も夜も消えないで。
郁実は振られてヤケ酒を飲んで帰って来た。
恋が破れた夜は真っくらくら。
この先、もう一生ときめきなんてないんじゃないかって、いつもながら思うのよ。
アパートに付くと部屋の前に圭祐がいた。
「何してんのよ、人んちの前で」「待ってたんだろ。
郁実が泣いて酔っぱらって帰って来ると思って」「何よっなんで…」「俺のネットワークを甘く見るなよ」「なんであんたまで入ってくるのよ」「恒例だろ。
ヤケ酒の翌朝、必ず飲みたくなる野菜ジュース。
失恋した時にだけ吸う煙草。
美味しい水。
お決まりのビデオ。
こんな所だろ」「…やな感じ」「いい加減覚えるさ。
何回目?」 ――表題作「2人で愛しあうのなら」ほか、「It must be Love」「夜中の宝石」「君とこの夜に」「ジュ・テーム モナムール」を収録。
(C)花田祐実/秋水社ORIGINAL
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