坊主の宗玄は、懐かれ情を交わした蜘蛛の妖怪と旅をしている。<br />人ならざる彼との情交で得られる快楽が、手放しがたかったのだ。<br />そもそも、宗玄は妖怪の類を恐ろしいと思わない。<br />むしろ人間の方が、残酷で恐ろしい。<br />だからいつの間にか、蜘蛛の裏表のない一途な独占欲を好ましく思い始めていた。<br />人間である自分が死んだ後の、蜘蛛の行く末が心配だったけれど……。<br />
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