なぜ人気作家・龍之介は、その「ぼんやりとした不安」を胸に抱くに至ったのか。<br />畏友・宇野浩二の発狂に揺れ、世紀末の暗黒に染まり、共産主義やキリスト教へと接近する…文豪の最晩年、自死に至る日々を丁寧に描き出し、その孤独で繊細な魂の内面に迫る、或る「芥川龍之介」伝、完結巻。<br />彼の苦悩は、まさに二十一世紀を生きる我々が直面している苦悩なのかもしれない。<br />