多映子は幼なじみの文雄と婚約したばかり。<br />近頃彼女は、挙式寸前に逃げ出す夢を見る。<br />これでもう6度目、相手の顔は解らない。<br />正式な結納も済み、あとは式を待つばかりなのに、晴れ晴れとした気分とは何かが違う。<br />そんな時、多映子は文雄たちと遊んだ幼き日の浜辺を思い出す。<br />「小さい波から数えて九番目の波が一番大きいのよ」…。<br />マリッジブルーに揺れる女心を描いた表題他、女達の出会いと別れの恋愛短編集。<br />