志保は飛行機のパイロットの夫と幸せな結婚生活を送っていた。<br />仕事の関係上家を空けがちだが、妻想いの優しい夫。<br />なのに、こんなに恵まれた結婚生活を送っているのに、心の内にあの頃の波の音が押し寄せる。<br />熱い眼差しで海ばかり描いていた3歳年上の鷹司。<br />輝く夏の中で二人は恋をした。<br />青く煌めいていた海、潮騒の音…。<br />今でも鮮やかに蘇る…。<br />しかし鷹司は志保を置いて、突然姿を消してしまった。<br />あれから10年…。<br />今もあの頃の波音は打ち寄せ続ける…。<br />