街角には娼婦が立ちんぼ、浮浪者はゴミ溜めで眠り、犬コロどもは餌にありつけやしない。<br />ここは摩天楼のごくありふれた夜の風景。<br />橋の上の女は何を想い涙を落すのか。<br /> 道に迷う者も、何かを無くした者も、人は皆あの男の音色を聴くだろう。<br />あいつのトランペットが街色を染める。<br />神や政治の出る幕じゃないだろう。<br /> だからニッチモよ、今宵もトランペットを吹いておくれ。<br />お前のジャズを聴かせておくれ。<br />