その晩、私は夢を見た…部屋は昼間の様に明るく、私の足元には、少年が立っていた―不治の病に侵された、家元の跡取りの藤清。<br />ある晩、彼は夢現のなか一人の少年と出会う。<br />物ノ怪か?座敷童か?真赤に染めあがった着物の袖を翻すその少年は、おもむろに藤清の頬に手をかけ…くちづけをした。<br />翌朝、藤清の身体に異変が!?あの晩、藤清の前に現れた少年は一体誰だったのか…その姿は、昔、弟の松清と夏祭りですくった金魚にも似て―