離れられない私達の、近づくことのない想い――正体不明の音楽ユニット’シアロア’が、ついに観客の前に立つ。<br />マンションの一室から放たれた音楽に人々は突き動かされ、大きな波となってシアロアをステージへと押し出した。<br />自らの歌声が多くの人へ届くことに興奮するサエ。<br />しかし彼との時間、彼との音楽、何より彼自身を求めていたミナは困惑する。<br />サエから離れることのできないミナ。<br />ミナの音楽を手放せないサエ。<br />音楽が繋ぎ止める二人の、歪な共依存が奏でる物語。<br />