五年前、私は大手企業に勤務中、ある不正融資事件に巻き込まれ、会社を退職せざるを得なくなった……現代の錬金術で生み出される巨額の金の幻想に眩惑され、理性を失い、気がつくと地獄に突き落とされていたのだ……妻の支えでその後悔と絶望からようやく立ち直った頃、妻は……――(「肌の記憶」より)。<br />1990年代、小学館「ビッグコミック」などに発表した耽美傑作選。<br />