1945年8月6日長崎――。<br />惣菜屋の一人娘・あんずは、人一倍元気で明るく、負けん気が強い女の子。<br />病気の母を看病し、周りには「父無し子」といわれながらも、くじけずまっすぐに生きていた。<br />日本はもう戦争の行く末を予感していたが、それでも勝利を信じて、人々は不安と高揚が入り混じる日々を送っていた。<br />「あの日」が来るまでは……。<br />そう、あんずも、長崎が見舞われる悲惨な事態を、今はまだ知らない。<br />激動の昭和を駆け抜けた、女の一代記!