ただひと振りの刀のために己の全知全能を傾け日一日と命をすり減らす刀鍛冶。<br />試し斬りの罪人の恨み顔が頭を離れない幻山は、それ以来、狂ったように鍛冶場へ籠もり昼夜をとわず鎚をふるっていた。<br />自分の腕を斬り、その血と殺した妻の血を刀に吸わせ、女の血を求める怨念の魔刀を命と引き換えに誕生させるが、災いを及ぼす魔刀だと言われ潰されそうになってしまう。<br />こうして幻山の息子、相馬佐一郎の奇妙な旅は始まった。<br />