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かたばみ抄(単話)

庭の隅に咲いたかたばみの黄色い花。
まだ子どもだった珪子は、母の咎めを聞かずに花を摘む。
小説家である父はそんな娘の姿を見て、自分の小さかった頃のことを思い出していた。
花を摘んだ思い出はまるで昨日のことのように思えるのに、いま自分たちの生命を分けた幼い娘が同じことを繰り返しているのを見る不思議さ…。
月日が経ち、年頃になった珪子は結婚を間近に控えていた。
小説が書けず酒ばかり飲んでいた父を支える母の姿を見てきた珪子。
ただ、最近ふたりに微妙な変化が…。
叙情に溢れた繊細なタッチで人の心を描き出す、妙手あすなひろしの珠玉の短編集。




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