いつも怖かった。<br />捨てられて、一人になる事が。<br />誰にも必要とされず、誰の記憶にも残らず、この世に存在している事が。<br />だから成悟さんの言葉が本当に嬉しかった。<br />自分が産まれて来た事、赦されたみたいで…。<br />この人の中にはちゃんと…自分が生きている。<br />だのに俺は、これから成悟さんを裏切ろうとしている。<br />そうする以外の生き方を、俺は…知らない。<br />