――あんたいったい、何から逃げた?―― 久遠寺に問われ、菅野は静かに語り始めた。<br />彼がなぜかつて久遠寺の元から逃げ出したのか。<br />そして、明慧寺にて鈴に対して何をしてしまったのか。<br />そして菅野は続けた「私は半ば望んで壊れたのです。<br />自分の意志で心を壊し、脳髄の埒外に逃げ出したのです。<br />」彼をここまで追い詰め、変貌させてしまったものは一体何であったのか―――。<br />