少女の手には、インスタントカメラが握られている。<br />彼女はおもむろに僕とのツーショット写真を撮り、「現像するまでどんなのが出来上がるか分からないって、ドキドキしますね」と言った。<br />それから静かに、「宝物のタイムカプセルみたい」と付け加えた。<br />とても幸せで、優しい時間が流れた。<br />僕と彼女は、出来過ぎなくらい完璧な世界にいた。<br />ただ一点、彼女が、娘の友達だということ以外は――。<br />大切な思い出が増えていく。<br />増えていって、しまう。<br />