その春、久々守秋人は高校入学を控えた15歳だった。<br /> 徐々に記憶を失っていく病におかされた秋人は、理心高校の2年生・夏目遥と、彼の身体に刻み込まれた‘卓球’に出会った。<br /> 「美しいと思った」「どうしても欲しいものができた」…。<br />だって、脳がすべてを失っても、肉体は‘それ’を忘れない。<br />だから、これは。<br /> すべてを懸けるに値する出会いだった━━。<br /> 決して忘れ得ぬものを手に入れるため、初心者・秋人の挑戦がはじまる。<br />