世木幸子と中身が入れ替わって八河柚の人生は一変した。<br />「幸子」として、憧れの速水瞬の親友になることができたから。<br />瞬が喜んでくれるなら「八河柚」だったクソみたいな人生なんか捨てて、「世木幸子」として生きていく。<br />瞬の言うことを聞いていれば幸せになれる。<br />そう信じていた。<br />瞬と幸子を乗せた大阪行きの、夜行バスが発車するまでは。<br />