箱根の旅館で、僕らはキスをした。<br />ふたりで小さな布団に入りながら、君の思い出話を聞いた。<br />そして、君の健気さと、苦しみを知った。<br />君を助けたい。<br />君の人生を変えたい。<br />君を抱きしめたい。<br />君のすべてを受け止めたい。<br />君を、普通の女の子にしてあげたい。<br />だから、どうか…どうか…僕を突き放さないでほしい。<br />君との関係が会社に知られようが、君のお母さんに知られようが、僕はもう、迷わないから――。<br />