玉砕(単話)
風化させてはいけない真実がある昭和19年(1944年)の初夏。
日本の戦況は著しく悪化し、敗色濃厚となっていた。
絶対国防圏であり、日本の中核拠点であったサイパン島。
アメリカ軍のマリアナ諸島への空襲は一段と激化した。
上陸作戦の前触れであった。
同年6月15日、サイパン島近海の青い海はアメリカ軍艦隊によって黒く塗りつぶされた日本の反撃もむなしく、日本軍守備隊の崩壊は深刻となった。
日本軍はもとより多くの日本人居留民が追い詰められ、捕らえられることを避けるため海に飛び込み自決した。
戦争を否定してもその体験を否定することはできない戦争は日本人の真実の体験である真実あった姿から目をそらさずそれを直視し生かすことによってこそ平和への道が開ける ――横山まさみち
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