幽かな恋人(単話)
この世とあの世の間で、愛に引き裂かれる私――。
ある夕暮れ、雨宿りをした喫茶店のマスターは美しい男だった。
彼の不思議な雰囲気に惹かれ、それから雨の日のたびに店を訪れてしまう。
新婚の身だっていうのに、いけないわ。
夫を永遠に愛するって誓ったのに、ああ、でもついに彼と結ばれてしまった――!なぜかしら? 最近なんだか体調がすぐれない。
夫は私を気遣ってくれる。
もったいないほど優しい人。
でも、今日は雨が降っているのよ。
無性に彼に会いたい――。
夫を裏切り、家を飛び出そうとした私は、しかし玄関で‘あるもの’を見て踏みとどまった。
そして夫から教えられた、あの喫茶店の真実。
彼はけっして愛してはいけない人だった。
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