幕末の侠客・吉良の仁吉を生んだ三河で薬屋を営む太田のところに、大学時代の元恋人のうららから一本の電話が。聞けば彼女の夫が失踪したのだという。東京からやってきたうららと合流し、夫の行方を捜すうちに、二人は彼の死体を発見、あわてて警察に知らせにいくが、その間に夫の死体は消えていた。そしてさらに第2の死体が現れる。事件の真相を追究するため、吉良の仁吉の血を引く太田は、吉良一家の再興を宣言、かつての同級生などを集めるが、事態は思わぬ方向へと転がっていく……。全編三河弁が飛び交い、ユーモラスな味わいに満ちた奇想天外ミステリー。※本書は、 1984年11月徳間書店からトクマノベルスとして刊行された『三河湾殺人望郷歌』を改題した文庫が底本です。