「聖也と、あんたとあたしの三人で、やってみない?」――地方の裕福な家に生まれながら、その家系を‘偽物’と嫌悪する真奈美。大学三年の夏、友人アイリーンの紹介で、戦後成金の資産家の家に育ったゲイの潤と新宿歌舞伎町で出会う。彼らに案内され、初めてホストクラブを訪れた真奈美は、潤ともマクラ(枕営業)するというナンバー2ホスト聖也に興味を持ち、指名する。以来、真奈美と潤は、聖也を挟みながら、同志のような関係になっていく。二人の間には、自身の境遇に対する拭いようのないコンプレックスと、堕落への憧れがあった。ある時、真奈美は潤から、聖也を交えた3Pを提案され「したい。わたしもしてみたいです」と迷いなく答える。やがて三人はその夜を迎えて――。自らを捕らえ続けてきた軛から解放されるために。ふくらみ続ける‘本物’への渇愛を断ち切り、自らが‘本物’になるために……。暴力的なまでに切ない、ある愛の物語。気鋭の歌人による、才気迸る小説デビュー作誕生!