「殺意が見える女」(第五十一回日本推理作家協会賞短編部門候補作)を収録した名作短篇集仕事がしたい。なのに、あの男は‘私の家’に帰ってきて偉そうに「夕飯」だの「掃除」だの命令する。苛立ちが募る女性作家のもとに、家事を手伝いたいと熱望する奇妙なファンレターが届く(表題作)。嫌いな女友達より、恋人を奪った女より、誰よりも憎いのは……夫かも。あなたが許せないのは誰ですか。第五十一回日本推理作家協会賞短編部門候補作を含む極上ミステリー七篇。(解説:杉江松恋)<目次>夫が邪魔マタニティ・メニュー二十五時の箱左手の記憶捕えられた声永遠に恋敵殺意が見える女過去付き合っていた四人の女が生んだ子供たちを探し出し、遺産の相続人に加えることにした……。莫大な遺産をめぐって人間のあくなき欲望が絡み合う著者の代表作。江戸川乱歩が激賞した名作、ついに復刊!(解説:縄田一男)これは私が書いた最初の推理小説である。それまではわずかの現代小説を除き、ほとんど時代小説であったが、たまたま、故江戸川乱歩氏から、推理小説を書いてみないかとの誘いがあり、かなり躊躇してから、執筆にとりかかった。(中略)第一回が載ると、すぐに江戸川氏から、非常に面白い、従来の本格スリラーとは全く別のものができそうなので大いに期待していると云うお手紙を頂き、少々良い気分になって書きつづけたのを覚えている。(本文「あとがき」より)