2人であることは、4人である、ということ月。ピクニック。焚き火。膝。蜜柑。涙。風鈴。紅茶。霧。窓。この中篇小説は2部構成になっていて、第1部はもっぱら2人が過ごした様々なシーンのスケッチにあてられている。1つひとつはとても短い章(シーン)がミルフィーユのように層をなして結婚前の2人を表現している。そして第2部は2人の現在だ。そこには、過去の思い出の反芻とともに2人であることとは何か、結婚とはどういうことか? という問いが日々更新され、結果としての結婚ではなく、常に生成されていくものとしての結婚が描かれている。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。