今、最もホットな「拷問」がテーマの衝撃の問題作。魔女が魔女狩りに恋をして…? エグくてエモくて愛しい2人の少女の物語。人魚が泡になり、毒が飛び散った。滅びに直面した世界で、君は魔女狩りに選ばれた。私は毒を浴び、右目の魔女になった。数多の魔女を狩って世界を守った魔女狩りは、自らの死を求め、右目の魔女のもとを訪れた。殺意を死で返す返報の毒を有する右目の魔女は、ただひとり、不死の魔女狩りを殺せる存在だったから。ただし、魔女狩りが右目の魔女を殺したいほど憎めたのならば。右目の魔女は、待ちくたびれていた。いつまで経っても自分を狩りに来ない魔女狩りの遅すぎる到着に、憤りさえ覚えていた。それでも右目の魔女は、魔女狩りへの協力を誓った。右目の魔女が、私が、君に恋をしたから。最後の希望に殺意を抱かなければならない、魔女狩りが陥った最悪の自己矛盾を解消するため、右目の魔女は提案する。「これまでに君がされて嫌だったことを、私がやるのはどうかしら」「……拷問ですね」。 魔女狩りは語り始める。長靴、オーストリア式梯子、掃除屋の娘……凍える寒い冬、廃墟に監禁され、絶え間なく浴び続けた暴力と苦痛についての記憶を――。そして、右目の魔女と魔女狩りは、かつて魔女狩りが受けた拷問を再現するため、工夫と失敗、工作と成功を積み重ねる。柿バターをたっぷりのせたトースト、桜木町駅前広場のチョコアイス、赤レンガ倉庫の飲茶――ひどく暑い夏、ふたりで横浜を歩き回り、他愛ないおしゃべりに耽りながら。魔女と魔女狩りは拷問と日常を往還し、互いを知っていく。望む結末から遠ざかってしまうと理解しながら、少しずつ惹かれあう……。どうでもよさそうな曇り空の下、拷問とガーリーな日常が始まる。「ガール ミーツ ガール」と呼ぶには裏表がありすぎる、二人の少女の物語。中野 在太(ナカノアルタ):静岡県在住。本作にてデビュー。とよた 瑣織(トヨタサオリ):ライトノベルの挿絵やゲームのイラストを手掛ける人気イラストレーター。ライトノベル作品に『棺の魔王』『魔王の処刑人』(共にヒーロー文庫)、『伝説の勇者の伝説』など多数。