ホテルの清掃員として働きながら夜間高校に通う涼子、16歳。家には、怪我で働けなくなった父、鬱病になった母がいて、生活保護を受けている。ある日、クラスメイトからセレブばかりが集う「クラブ」に行かないかと誘われる。守らねばならないものなど何もなく、家にも帰りたくない。ちょっとだけ人生を変えてみようと足を踏み入れた「クラブ」には、小説家だという初老の男がいた。「ヘンな人」でしかなかったその存在が、涼子の人生を静かに、そして大きく動かしていく――。33万部のヒットとなった『ピース』の著者が、原点に戻って描きあげた傑作長篇!