いまだ革命の夢を捨て切れない熊田留吉は、八方破れのロマンチストだ。全学連丸角派の元副委員長という肩書きをもち、厚いジュラルミンの楯をいくつもブチ破った礫「飛龍」の、まぼろしの投げ手だった。かつて60年安保のころ、闘争現場から逃げ出し、警察に身柄保護を求めたという痛恨の汚点はあるが、誰でも革命家を気どれる最近の風潮をにがにがしく思っている。今日は、栄光の全学連闘争をもりたて、全学連と実に親密な関係にある機動隊の奮気をうながすために、傷つき再起不能になっている老機動隊員たちを慰問することになった。右も左もブッタ斬る痛快、奇想天外な発想。鬼才中の鬼才、つかこうへいの問題長編小説!