おはなし好きの父親と、その子ども「ピッピ」が、「おはなしの世界」と現実の世界のあいだに、見えない橋をかける。いしいしんじの多彩な物語の魅力があふれる、27本の連作短編集。●幼馴染みの「俺」と「ルー」は千二百年生きるという神馬を探しに、神社の奥ノ院に潜入。長い廊下を歩くうち、いつの間にか見たこともない景色が広がっていて――「千二百年生きる馬」●海辺の街でアンティークボタンの店を営むジェリー。ある夜悪夢で目覚めた彼は、青いワンピースを着た半透明の少女と出会う――「四歳のピーコートのボタン」●政治犯として不当に逮捕され、広大な砂漠の真ん中で働かされている囚人たち。脱走不可能なこの地で、‘三千年’の懲役で服役している男がいる。絶望的な状況のなか、彼が希望を失わずに淡々と生き続けられる秘密とは――「三千年生きる」ほか、全27編の短編を収録。文芸誌「すばる」での連載を単行本化。「果てしなくきらめく命のシャワー! ほとばしる希望!」――鈴木杏(女優)/「いしいさんは、ことばという楽器で、 一瞬のきらめきや、めぐる時間、目に見えない縁の広がりを、豊かに奏でる。」――クラムボン 原田郁子(音楽家)