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【日本文学】タグのライトノベル・小説

不思議なタイトルである。というのも、この小説の中では実際に、結婚した男女が毎年休暇を過ごす南の島が出てきてそれは架空の島などではないからだ。しかし、その島の名前も場所も一切明らかにはされないから読者にとってはたしかに「どこかにあるはずの素敵な」島に違いない。片岡義男の多くの小説がそうであるように我々の日常にあるようなリアリズムや従来の小説がそこをテコにして物語を動かす破綻、のようなものはここには一切、現れない。あるのは1つの、あざやかな夫婦のかたちだけだ。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
少年少女向けの文庫レーベル・コバルトシリーズに収録された一篇。ここでは、思春期特有の繊細さとストレートさ、よくわからないものに向かっていく頼りなさが、草野球という、このうえなくうつくしい舞台を経由して遺憾なく発揮されている。ボールを投げる。投げられたボールを打ち返す。その運動に身を委ね、さらにボールを拾い集める、という内省の時間を持ったあとで、彼と彼女は新しい世界に踏み出していく。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
完全に対等な、男女の関係がある。共に過ごす時間は快適で、偽りがなく無理なところが少しもない。そうした対等の関係が1日のあいだに連続して起こり、女性の側がすべて同一人物であったとしてそこで起こっていることはいったい何か。何でもない、というのがおそらくこの小説の回答であり、1対1の関係がただ1個ではない、ということがそこにあるだけだ。窓から空を見る、という行為であたかも自分をニュートラル・ポジションに戻しているかのような主人公の所作に魅了される。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
若い男女がいる。恋人同士ではない。大切な人を亡くした同士だ。男にとっては親友。女にとっては恋人。深い悲しみの中にありながら女性は彼女なりの仕方で追悼を、そして別れを試みる。それは恋人だった男性を彼女のやり方で理解しようとすることであり、その場所に行ってみることであり、それをやりきったら二度とやらないことでもある。そのやり方にそっと、親友が寄り添う。見事なその別れを、彼女は完璧に美しくやりとげる。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
唖然とする展開、といってもいいかもしれない。しかも2度。この短さの中で2度、唖然とできる。舞台設定が、サスペンスの効果を高めている。ここで「本気だ」と言われているセリフは言葉通りに受け止めるべきであり、それを怖ろしいと思うかあるいは微笑ましいと思うことだって、読者の自由である。もしかするとこれは新手のSMプレイかもしれない。そう読むのもまた自由である。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
再会は、過去と現在を二重に浮き彫りにしてしまう。少なくとも2人いなければ再会にならないから、最低でも4種類の時間の組み合わせが物語を動かしていく。過去には叶わなかったもの。現在が失ったもの。その痛み。それとは逆に、時を経て獲得した大きな愛、のようなものもまた、そこには流れているはずだ。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
この短篇小説を読み終え、あらためてタイトルを見ると、いかにも的確で、同時に残酷に思えてくる。10年前の輝きを、その当時の風景を目の当たりにしていくらでも語ることができるのは、現在にその輝きが失われているからだ。かつて選んだ男が去り、選ばなかった男が新たにやってきた、という単純な話ではない。あの輝きはもはや、確実に消えてしまったのだ。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
片岡作品に登場する女性たちの多くは社会通念ではなく、自分自身の中にモラルを持つことで徹底している。例えば結婚。結婚しないことを貫くこと、あるいは結婚することを選択したうえで他の男性と没交渉にならないことを選ぶのも彼女たちの流儀である。それは制度や通念への反抗ではなく、自分で決めたい、ということにつきている。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
エクストラ・ドライのジンは、かなりキツい。それがこの、何も起こらないといえば起こらない、おだやかなはじまりの、派手ではないが祝福に満ちたごく短い短篇のタイトルに選ばれているのはなぜか。男女のうち、視点は女性の側にある。ヒントは、ラストの1人飲みのシーンにあるのかもしれない。いや、それはほんとうになんでもない、なにものをも象徴しない、ただのエクストラ・ドライでありただの1人飲みかもしれないのだけれど。さてあなたはどう読みますか?【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
不幸な亡くなり方をした父親から唯一の財産として娘は歌を贈られた。長じてカントリー歌手になった娘は父の曲に自ら詞をつけて歌うようになる。ところがその歌を、どうやらもう1人、歌っている女性がいるらしい。自分しか知らないはずの歌なのに。このミステリーの前に現れるのが愛すべき21歳の私立探偵アーロン・マッケルウェイだ。もう1人の女性はいったい誰なのか。全篇、電話による会話だけで進んでいく哀切な物語。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
今日こそは会いたい女性がいる。いつもならしない残業もこなし、時間をつぶそうとするもなかなか電話は通じない。持て余した時間のあいだに幾人もの女性が登場しては去っていく、そのよるべなさも片岡作品にはおなじみの展開だろう。やや深い時間になって、ようやくキャッチ。そこまで時間が経過したのだから、夜空の遅い初夏でも、彼女の体の向こう側に一等星が見える。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
たいへんに魅力的な女性がいて、彼女と寝たい、それが実現するなら百万円払ってもいい、と男が口にする。話だけなら冗談か下衆な話題として済んでしまうが実際にそれが実現され、女性もあっさりとそれを飲んでしまうともはや外野がどうのこうの言う問題ではない。「一生に一度かしら」などと笑いながら、百万円を支払い得ない男たちの視線の先をグラビアの彼女が涼しくすべっていく。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
編集者と書き手の情事。ここでは編集者が男性であり、書き手はまだ書くことの経験が十分ではない。小説とは、いかにして書かれるものなのか。会話の中から、そして動作を伴う、あるモノからそれは生まれる。例えばイアリング。男には得られない視点からイアリングを見て、そのことを構築できればすなわちそれが彼女の小説だ。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
未来へと目を向けてある決断を下しても、それは現在が見ている風景でしかないからやがてその時がやってきた時点でかつて未来だった幻想から悪戯される、ということはあるだろう。卒業と結婚を同時にやろう、という青年の性急さと、かつて手を切ったものに再びからめとられる弱さは、矛盾しない。同時にそれらを抱えたまま彼は人の世の洗礼を受けることになる。それを優柔不断と呼ぶのは簡単だがそのことよりも今、まさに直面していることの悲しみのほうに粉雪が寄り添っている。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
「メイン・テーマ」の3作目。まだまだ旅は続いている。メイン・テーマとは、自分の時間をどのように過ごすか、ということだから、それは自由、というものをどのように取り扱うか、という態度のレッスンになるだろう。例えば氷あずきの食べ方。コーヒーの飲み方。そうした具体的な生活の一つひとつが自分自身のものとなり、他人に伝授できることが肝心だ。旅の空の下では、なぜだろう、レッスンはいつも快調だ。【著者】片岡義男1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
祈るとは、自分は何をなすべきなのか、それを伝える神の声を聴こうと耳を澄ますことである。2011年3月11日の直後から池澤夏樹は東日本大震災の現場へ幾度も通う。光景を記憶に刻み、被災した人々の声に耳を傾ける。何が起きたのかを決して忘れないために。あの日の死者たち、被災地の苦悩、日本の国土、原発と政治......この経験から私たちが学ぶべきこと、変化すべきことを思索しながら。【著者】池澤夏樹:1945年、北海道帯広市生まれ。小学校から後は東京育ち。以後旅を重ね、三年をギリシャで、十年を沖縄で、五年をフランスで過ごし、今は札幌在住。1987年に『スティル・ライフ』で芥川賞を受賞。その後の作品に『マシアス・ギリの失脚』『静かな大地』『カデナ』など。東日本大震災に際しては被災地を度々訪れ、その思いを綴った『春を恨んだりはしない』や、長篇小説『双頭の船』『アトミック・ボックス』を発表。2014年末より「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」の刊行を開始。【写真】鷲尾和彦:1967年兵庫県生まれ。早稲田大学教育学部社会科学専修卒業。97年より独学で写真を撮り始める。2001年、清里フォトミュージアム主催「ヤングポートフォリオ」入選。06年、ガーディアン・ガーデン主催「フォトドキュメンタリーNIPPON」入選。写真集に『極東ホテル』『To the Sea』(赤々舎)、『遠い水平線 On The Horizon』(One Drops)がある。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
20歳の姉と16歳の妹。妹は、生まれ育った札幌から金沢に引っ越すにあたり思い出として、少女を終える=処女を捨てることに固執する。脱処女には賛成ながら、その大事な機会を監視したいと願う姉は妹がつまらぬ男にひっかからないように、自分の自慢の恋人を差し向けたのだが……ティーン向けレーベルのために書かれながらビターな後味を残す、大人の少女小説。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
狂った青空の下、ひたすら長く延びるカントリー・ロードを行く。茫漠と広がる大地ばかりが取り囲み、やがて足を踏み入れたゴーストタウンに、小説の後半、大木と1組の夫婦が現れる。1本の木を介して、死がすぐそこにあった時代。死は、子供たちの手の先、いや、首の周りにあった。縛り首の木のすぐ傍のブランコみたいに。アメリカの昔と今を貫通する死の光芒。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
弱冠21歳の若き私立探偵アーロン・マッケルウェイ。ガン・ベルトを携えた、保安官さながらのいでたちで彼は人々のさまざまな依頼に応える。この短編でマッケルウェイに与えられた使命は白血病で自らの命を経った女性からの伝言を伝えること。しかし伝えるべきその相手もまた、悲しい運命にあった。心優しきマッケルウェイが共有するのは共に味わう冷えたハンバーガーだけだ。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
緩慢で繰り返しの多い前半部と、一転、すばやい行動で危機を回避する後半部。そのあざやかなコントラストが光る一編。七里ヶ浜のバーにしつこく何度も電話をかけてくるその声をバーテンダーも常連客も聞いてはいるもののイカれた女の酔態と退け、相手にしない。しかし、この店に初めてやってきたカウボーイ・シャツの男は違った。暇にまかせて戯れに相手をしている風を装いながら事態の切迫を正確に読み取り、巧みに相手を誘導する。2人が2度目に会う時の男の容赦ない行為は、もはや叱責の域を超えていたはずだ。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
秋の気配が漂い始めた道を、1台のキャデラックが北上していく。飛行機を使うことなく、まだ青函連絡船が生きていた時代。室蘭まで。キャデラックでストリッパーを劇場まで送り届けるという馬鹿馬鹿しくもゴージャスな、楽しい旅。派手な芸名、アナウンス、踊りの合い間に移り変わる天候や北の町、港の風景が、文字通り幕間のように挿入される。場所も辺境、人も辺境。この先どうなるかわからないポンと投げ出された日々を描く心やさしきロードノヴェル。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
仲の良い女ともだち、2人。ちょっと久々に会う週末。楽しく飲んでいるうちに、興が乗って、知人の男性を呼び出すことになった。男はステーション・ワゴンを持っていて、海を見たくなったら横浜へ。車の中では飲みっぱなしだ。女性2人が、時間をおいて酔いつぶれても、男が面倒をみることになろうとも、あっけらかんと屈託のない時間が過ぎていく。たとえ二日酔いになったって、冷蔵庫には、自分の好きな8オンス罐がある。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
中東の戦場を逃れて、海路で東京にたどり着いた一人の若き兵士、ターリク。パスポートもなく身を潜めて大都会をさまよいながら、たまたまロック・グループで歌って人気を得る。 彼と出会い、また別れてゆく男たち、女たち。都会の砂漠で生きる彼らの心に、故郷を思うターリクの哀調を帯びた歌声がしみとおる。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
空から舞い落ちる、白い雪。夏の青い空と陽射しが主流の片岡作品にあって雪は貴重な例外だ。しかしながら、同時にこの作家特有の「型」もここに見ることができる。走っている男が、約束もなしに、路上で女を拾う、というパターンだ。現実にそんなことはまずおこらない、という感想は無意味だ。ここには出会いがあり、自然な流れがあり、喜びがあり、時が経過して、やがて悲しみが来る。それだけだ。そして最初と最後に、雪があった。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
端的なタイトルがこの短編のすべてを表している。通り過ぎること、それがすべて。町を通り過ぎながら、見る。徒歩や自転車やオートバイのように体を外気にさらさない四角い個室のまま自動車で移動することで見ることは純化される。通り過ぎることでカメラ・アイになる。そこに対向車が、ガス・ステーションが、林が、湖が、広告の看板が、遊園地が、ビーチパラソルが、教会が映る。主人公は、カメラではなく、人間であることを忘れないように(?)時折、リンゴをかじる。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
人物の性質ではなく、人と人との関係が日々を形成する。大学生、という浮遊感に満ちた時間の中で、オートバイが2人の男を関係付ける。女がやってくる。2人が3人になり、奇妙に安定した三角関係に入る。しかし時間は止らない。3人が4人になり、5人になりバランスこそが生命である関係が危うくなる。ついに崩壊が来る。そこにもオートバイがあった。しかしその崩壊すら、終わりではない。カタルシスなきアンチクライマックス。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
この戦いが無限に続くことをぼくは願っている。麻薬の罠にはまり、バリ島で逮捕された画家、哲郎。パリから帰国し、兄の逮捕を知ったカヲルはひとり、バリ島へ飛ぶ。不慣れなアジアの混沌の中で、果たして妹は兄を救うことができるのだろうか.....。交錯する生と死、西欧とアジア、絶望と救済。バリ島の濃密な空気の中で繰り広げられる舞踏劇、魔女ランダと怪獣バロンの戦いは永遠に続く。真の救いとは何かを問いかける傑作長編小説。毎日出版文化賞受賞作。【著者】池澤夏樹:1945年北海道帯広市に生まれる。小学校から後は東京育ち。以後多くの旅を重ね、3年をギリシャで、10年を沖縄で、5年をフランスで過ごして、今は札幌在住。1987年『スティル・ライフ』で芥川賞を受賞。その後の作品に『マシアス・ギリの失脚』『花を運ぶ妹』『静かな大地』『キップをなくして』『カデナ』『アトミック・ボックス』など。自然と人間の関係について明晰な思索を重ね、数々の作品を生む。2014年末より「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」全30巻の刊行を開始。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
私立探偵アーロン・マッケルウェイ・シリーズの一編。今回の依頼は、行方不明になっている男を探し当てることだ。辻褄の合わない謎の絵葉書と、男に婚約者がいたことだけを手がかりに女性探偵のアストリッドと助手のアーロンは調査を開始する。残念ながらしかし、何の進展も見られない。行方不明の男は原爆投下に係わる仕事をしておりその戦友を訪ねても、何の手がかりも得られない。だが作者はあっさり、この失踪の謎を読者に明かす。最後まで知らないのは物語の中の探偵2人だけ、というトリッキーな一編である。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
親と子、夫と妻。近しいはずのつながりを言葉が阻む時がある。異なる文化、異なる言語が互いの理解を遠ざける。寂しさを覚え、疲労が募る中、男は北国の誰もいない林に想いを馳せる。静寂の中で並び立って生き、言葉を必要としない木々に自らを重ねて。【著者】池澤夏樹1945年北海道帯広市に生まれる。小学校から後は東京育ち。以後多くの旅を重ね、3年をギリシャで、10年を沖縄で、5年をフランスで過ごして、今は札幌在住。1987年『スティル・ライフ』で芥川賞を受賞。その後の作品に『マシアス・ギリの失脚』『花を運ぶ妹』『静かな大地』『キップをなくして』『カデナ』『アトミック・ボックス』等。自然と人間の関係について明晰な思索を重ね、数々の作品を生む。2014年末より「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」全30巻の刊行を開始。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
深く、海に魅せられてしまう人間がいる。さしあたって、その人間は2種類に分かれる。サーフボードで海に出ていく者と海を、サーフを、サーファーを、フィルムに収める者だ。フィルムを撮る者はサーファーに魅せられ、サーファーはフィルムに映った海に魅せられ、新たなチャレンジに出る。彼らは降服の幸福を知っている者たちだ。やがてその中のある者は、南太平洋の彼方へと消えて行く。
公開日: 2016/02/04
ライトノベル
 
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