1991年から3年間、ヤップ島、座間味島、東京と場所を変えながら、新井敏記は池澤夏樹に問いかけ続けた。作品を読み込み、そこに現れる作家のテーマを探り、読書と創作の軌跡を詳細に辿る。「作家池澤夏樹の肉声を通して、読書というある種の輝きを持った一瞬を共有したい」という思いに駆られて。なぜ読むのか? そしてどのように読むのか。なぜ書くのか? そしてどのように書くのか。作家はインタヴューを通じて作家となるまでの航跡を総括し、自らの作品を振り返る。作家池澤夏樹をより深く理解するための、お薦めの一冊。【著者】池澤夏樹:1945年、北海道帯広市生まれ。小学校から後は東京育ち。以後旅を重ね、三年をギリシャで、十年を沖縄で、五年をフランスで過ごし、今は札幌在住。1987年に『スティル・ライフ』で芥川賞を受賞。その後の作品に『マシアス・ギリの失脚』『静かな大地』『カデナ』など。東日本大震災に際しては被災地を度々訪れ、その思いを綴った『春を恨んだりはしない』や、長篇小説『双頭の船』『アトミック・ボックス』を発表。2014年末より「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」の刊行を開始。:1954年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部芸術研究所卒業。1985年スイッチ創刊、2004年コヨーテ創刊、2012年モンキー創刊、瀬戸内寂聴責任編集『the 寂聴』創刊編集長、現在はスイッチ、コヨーテ編集長をつとめている。主な著書に『沖にむかって泳ぐ 池澤夏樹ロング・インタヴュー』『モンタン急行の乗客』『黎明』『人、旅に出る』『SWITCH STORIES 彼らのいた場所』がある。