「あなたは誰?」徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。ふたりで生きてきた親子には、忘れることのできない’事件’があった。泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。母の記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす──。記憶という謎<ミステリー>に挑む新たな傑作の誕生。「あなたはきっと忘れるわ。だけどそれでいいと私は思う」「また母が、遠くに行ってしまいそうな気がした。あの時のように」……あの一年間のことは、決して誰にも知られてはいけなかった。『君の名は。』『天気の子』を生んだ稀代の名プロデューサーにして、小説『四月になれば彼女は』『世界から猫が消えたなら』で作家としても大きな衝撃を与えてきた川村元気。各界からも反響が続々!◆息子と母の切ない思いに、胸が熱くなりました。──吉永小百合◆深い感動のうちに読了した。 ぼく自身の母親の思い出と重なり、他人事ではなかったのだ。──山田洋次涙が止まらない──現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。解説は『長いお別れ』の中島京子さんです。※この電子書籍は2019年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。