法が裁かないのならば、俺が裁く! 暗い過去を持つ警察官は、独自の捜査で犯人を追いつめ、次々と殺害していくが… いつだって、弱いものが割りを食うのだ。被害者を守るべき法律にしたところで、結局加害者を守り、被害者は泣き寝入りせざるを得ない。被害者の悔しさ、怨みをいったい誰が晴らしてくれるのか。法律に正義がないなら、自分が裁くしかない…。娘を強姦の上殺害された警察官・富樫は、警察という組織を隠れ蓑にして、独り密かに、弱いものの代わりに犯罪者を抹殺していく。だが、時効でのうのうとしている娘を殺した犯人はいったいどこに? 定年を間近に迎えた富樫はその戦いをエスカレートさせていくが、ついに警察の知るところとなる。逃亡しながらの必死の追跡行は…。正義とは何かを問う、著者渾身のハード・サスペンス小説。●龍一京(りゅう・いっきょう)1941年大分県生まれ。元兵庫県警察、司法警察官として主に公安を担当する。退職後、コンサルタント業等を経て、作家に転身。著者の実体験をふんだんに織り込んだ、リアルな刑事の実態を描く警察小説を得意とする。『偽装捜査』(光文社文庫)、『鬼刑事(デカ)謀殺痕』(祥伝社文庫)など著書多数。