【ミステリー・サスペンス】タグのライトノベル・小説
タジキスタンで原因不明の感染症が発生した。フリージャーナリストの御堂万里菜は年下のAD小島と共に現地取材に出発するが、乗り換え地のモスクワで小島がウイルス感染の症状をみせて突然死する。特効薬のないウイルスが全世界で猛威を振るう中、ひとりの女性ジャーナリストが真実を追う!※この作品は2016年4月に新潮社より刊行された単行本『シスト』に加筆訂正を加え、改題して双葉社より文庫化したものです。
池袋警察署の伊熊刑事は管轄区域で起きた未亡人殺害事件を担当していたが、独断専行を指摘され非番を命じられた。南紀白浜に向かう途中、特急「くろしお19号」の車中で男と知り合うが、翌日、その男が殺される。この殺人事件と東京の事件が繋がり、十津川警部は南紀白浜へ向かった。
あやかしクリニック医療事務の七木田亜月(ななきだあづき)は、激しい憎しみを纏った謎の男に出会った。態度もガラも悪いその男が出没した頃から、江戸川町のあやかしたちの病気が治りにくくなってしまう。原因はそいつがばら撒いた病原体にあることが分かったが、治療法が見つからない。ある日、受付時間の過ぎたクリニックにやって来たその男は、途方もない要求を突き付けた!
団地に暮らす専業主婦・浩枝は、現実と見まがうような「人が死ぬ悪夢」にうなされていた。ある晩、夢で見た殺害現場が現実のものと分かり、自分に不思議な力があることに気づく。浩枝だけが知っている事件の真相を伝えるべく同窓生の刑事・片岡と連絡をとるが、同時に平穏な生活に影が射しはじめる。ノンストップサスペンス。
主人公の少年が住む町では、三年連続で同じ日に自殺者が出たため「十一月六日の呪い」と噂されていた。学校でいじめに遭っている少年は、この日に相手を殺して自分も死ぬつもりでいた。そんなときに公園で出会ったピエロが、殺害を手伝ってくれるという。本当の罪人は誰?感動のヒューマンミステリー!
1974年生まれの二人の「陽子」。恋愛小説家として成功した陽子は、幼い頃から、自分が辿るはずだったかわいそうな運命を生きるヨーコの夢を見ていた。一方、夫と一人息子と共に暮らす陽子は、決して贅沢のできない毎日に嫌気がさしていた。家も、職業も、生活も、全てが異なる二人の人生は絶対に交わることはなかったが――。瞬く間に世界が狂い出す、イヤミス最高傑作!
ある夜、名門私立千手學園に空を飛ぶ「夜行仮面」が現れ、記者や警察が詰めかける大騒動に。学園の異端児・永人は、この「夜行仮面」の目撃情報にとある疑念を抱く。果たして「夜行仮面」の正体とは――? そして、永人の出身地・浅草で、少女たちが姿を消す事件が頻発。有名な少女歌劇『乙女座』でも消えた少女が複数いると聞き――。大正浪漫の香り漂う学園ミステリ、第3弾!
「リコール」の保坂祐希が贈る、食の不正を暴く、社会派エンタメ企業小説! 絶滅危惧種でありながら日々食卓にあがり続ける、身近な「ウナギ」。いまだ生態に多くの謎が残る高級食材の流通をめぐり、巨大スーパー・ヴィアンモールと裏社会の人々、そして元総会屋が暗躍する。しかし、その裏には国が躍起になって隠蔽する戦慄の真実が隠されていた――。
【第5巻発売記念 試し読み増量中】57連敗の末就職したクリニック、就業条件は良すぎるし、イケメン院長も患者さんもあやしい。バブルなホストのような理事長に、弟アイドルな薬剤師もいる。「え、『あかしや』クリニックじゃなくて、『あやかし』クリニック!?」 全く自覚のない七木田亜月だが、運命ともいえるこの巡り合わせには、彼女自身の宿命が関係していた! 泣いて笑ってハッピーになれる物語がここに!
【第三巻発売記念/第二話まで試し読み増量中!】時は大正時代、東京府――。大蔵大臣・檜垣一郎太の妾の子・永人は、嫡男の’謎の失踪’を受け、急きょ跡継ぎとして名門私立千手學園に放り込まれることに。学園内では妖しげな呪いの噂が流行しており、永人は思いがけず友人たちとその解決に挑んでいく。学園に蔓延る謎を、そして義兄失踪の真相を暴くことができるか!? 大正浪漫の香り漂う本格学園ミステリ、ここに開幕!
よろず相談も受けているリサイクルショップ「月世界」。そこを手伝う定時制高校に通う堤隆太は、些細なトラブルを解決していくが、いつしか数年前に起きた未解決の一家殺人事件の謎に巻き込まれ……。驚愕の書き下ろしミステリー。
2019年「ガラスの鍵」賞受賞作!3年前、スウェーデン北部の村、グリマストレスクで17歳の少女・リナが失踪した。地元の学校で数学教師をする少女の父親・レレは、3年たった今も単独で娘の捜索を続けていた。少女が失踪した朝、シルヴァーロード沿いのバス停までリナを送っていったのは父親だった。娘をバス停で降ろしてからバスが来るまで15分、その間に誰かに連れ去られたのだろうというのが警察の見解だった。娘はバスに乗らなかった。同じ頃、グリマストレスクに流れ着いた母娘がいた。娘のメイヤは母親が男を変えるたび何度となく引っ越しをくり返してきたが、こんな遠くまでやって来たのは初めてだった。母親のシリヤはこれが最後だと言った。母親の新しい相手はトルビョルンと言った。メイヤからすれば祖父といってもおかしくない年齢だった。その夏、リナが失踪したシルヴァーロードからほど近い場所で、17歳の少女・ハンナが行方不明になった。この事件をきっかけに、レレとメイヤの運命が大きく動き出す――。子を思う親の狂気が招いた悲劇を、北部スウェーデンの暗澹とした風土とともに描き出した、大型新人デビュー作。2018年、スウェーデン推理作家アカデミー「最優秀犯罪小説賞」受賞。2019年、北欧ミステリーの最高賞「ガラスの鍵」賞受賞。同年スウェーデン「ブック・オブ・ザ・イヤー」に輝いた傑作スリラー!
三億円の遺産がかかった失踪事件を追う!さいたま市の古い荒ら屋で、老婆が亡くなった。中原トミ、九十七歳。夫に先立たれて三十年、一人でつましく暮らしていたトミには三億円の遺産があった。相続人は三人の孫たち。しかし、「三男の子の薫にすべての遺産を与える」と書かれた遺言書が見つかった。薫は就職して二年目に失踪しており、二人の孫は遺産を得ようと、薫の失踪宣告を申し立てる。さいたま家庭裁判所の家事調査官・加賀美聡子は、薫が生死不明になった時期を特定するため、彼の消息を調べ始める。その中で浮かび上がってきたのは、幼少時から児童養護施設で育ち、母親の咲江に歪な形で支配されてきた、薫の壮絶な人生だった――一方、東京家裁の離婚調停で’替え玉事件’が発生する。愛人の子を妊娠した妻が出頭させたのは’偽物の夫’だった。欲にまみれた人々の争いの渦中に身を置きながら、調査を進めていく聡子が辿り着いた衝撃の真実とは。『誤算』で注目を集めた稀代のストーリーテラーが放つ、緊迫のクライム・サスペンス。
殺した人から血を集め’狩人’を追う!紅森市で、凄惨な連続殺人事件が発生。被害者は皆、木の枝に吊されて頸動脈を切られ、鶏の’血抜き’のような方法で殺害されていた。奇妙なことに、被害者の血を回収している犯人を紅森署では’狩人’と呼び、捜査を進めていく。銃で撃たれた後、睡眠薬で眠らされて無抵抗だった被害者たち。さらに、’経済的に困窮していた’という彼らの共通点が浮かび上がる。一方、犯行現場で黒いコートを着た長身の男が、地面に棒を突き刺していたという目撃情報が。同時に、行方不明になっていた静也の父を見かけたという証言があり、静也は父が事件に関与しているのではないかと直感する。再び、静也の力を借りながら事件を追う遊馬。’狩人’の正体は何者なのか? その目的は何なのか?刑事と血液研究者のコンビが’血’を手がかりに難事件に挑む科学ミステリー、第二弾となる長編!
天才的な数学の才能を持った高校生、上杉和典は校内の理数工学部に所属している。今年から部員でリーマン予想の証明に取り組んでいたのだが、和典は皆で議論を戦わせながら進めていく方針にどうにもなじめない。皆は合宿でリーマン予想に取り組むというが、和典はひとりで証明に挑戦するため、長野の山奥で夏休みを過ごすことにした。ここは古くから高校生や大学生、予備校生を対象に学生村を開設しており、和典の学校でも募集の告知があった場所の一つだった。和典はそこで、ホームステイをしながら数学に没頭しよう、そう意気込んでいた――。ステイ先に到着するやいなや、問題に取り組む和典。だが、不注意により書き込みをしていた紙を飛ばしてしまう。すべて回収したと思いきや、一部垣根を越えてよその家まで飛んでいってしまったことが分かる。そしてこの飛ばしてしまった紙が、和典に思いもよらぬ出会いをもたらすことになるとは、誰も知る由もなかった――。
瞠目の医療ミステリー下村敦史はあくまでもミステリの枠内に留まり、濃厚な謎解きの味わいと〈どんでん返し〉を盛った上で、死を真正面からテーマにしてみせた。構築の美に感動さえ覚える。作家・有栖川有栖読み終わったとき、思わず胸に手を当てずにはいられなかった。東京慈恵会医科大学 教授・嘉糠洋陸。移植手術を巡り葛藤する新米医師――「優先順位」。安楽死を乞う父を前に懊悩する家族――「詐病」。過激な動物愛護団体が突き付けたある命題――「命の天秤」。ほか、生命の現場を舞台にした衝撃の医療ミステリー。注目の江戸川乱歩賞作家が放つ渾身のどんでん返しに、あなたの涙腺は耐えられるか。最終章「究極の選択」は、最後にお読みいただくことを強くお勧めいたします。(解説・有栖川有栖)
美貌の娘と四人のおっさんたち。法の目を抜けて、はびこる悪事を苛烈に過激に叩き潰す!町名主の保土屋左兵衛の持ち家に強盗が押し入り、妾と手伝いの娘を斬殺し、有り金を奪って逃げた。盗賊火附改同心の熊坂小吉は、酸鼻を極める血の海の家の中。そこを綺麗にする清掃人たちのなかに、その場にそぐわない美しい小娘が働いているのを見つける。彼女の名は小夜といい、奉行の松平彦左衛門永図のお声掛かりで働いているという。熊坂が探索を始めると、小夜も何かを探っているようだった。理不尽に殺された人の無念の声が聞こえる少女の直観が罪と真実を暴く。第一話 美魔女第二話 島破り第三話 女賊の嵐第四話 茶室の怪
b>人の闇を暴く。調査員・弘美が知る人生の真実。真摯に事件に向き合い悩み、葛藤する等身大の女性の物語。恋愛の真っ最中にいるあなた、移ろいそうな心を抱えているあなた、もう一歩踏み出すことに躊躇しているあなた。本書はそんなあなたに大きな力を与えてくれる作品なのである。――評論家・西上心太氏(解説より)自殺した親友・由嘉里から届いた一枚の絵葉書には自殺した当日の消印が押されていた。フリーランスの翻訳者・弘美は、自殺と思われた由嘉里の死が実は殺人であると解明する。犯人である由嘉里の義姉、容子は、私立探偵に恐喝され、由嘉里に借金をしていたのだ。容子を脅した探偵を探すため、探偵事務所の調査員となった弘美は、ささやかな幸せを求め、懸命に生きる女たちと関わる……。人気作家の傑作サスペンス。
事件記者の浜中悠一は、七年越しの婚約者である亜紀とついに結婚式を挙げる。昼も夜もない因果な仕事に別れを告げ、妻と家庭を大切にする新生活を始めようと心に誓ったのだ。ハネムーンはドイツへ。ところがその機上で自殺騒ぎが起こる。乗り合わせた浜中の遠縁の高校生・村川昌子の活躍で事なきを得るが、フランクフルト、ローテンブルクと彼らの行く先で次々と事件が……。ノンストップ傑作ミステリー!【目次】1 バージン・ロード2 仲人3 逃走4 新しい暮し5 出国6 離陸7 怪しいメモ8 ひとこと9 乾杯10 ありがた迷惑11 華やかな夜12 くたびれた夜13 アプショオナル・ツアー14 城壁の黄昏15 夜はふけて16 木彫りの家17 遺言18 再会19 嘆きの声20 脅迫21 真夜中22 犠牲23 旅立ち
新型コロナウィルスの出現を予見したパニックサスペンス長篇!イタリアのテロ組織リーダー、ジョルジュ・コロンボは、潜伏中に起こした交通事故現場から、愛人を残して逃走した。その女性が原因不明の新型ウィルスに感染していた。発症後の死亡率は百パーセント。戦慄が世界を走った。各国が国境を封鎖し感染を食い止めようとするなか、癌病船・北斗号が病原体解明に乗り出した。だが、なす術なく犠牲者は増え続けるばかり。感染者と思われるコロンボも人質を盾に卑劣な逃亡を続ける。唯一の手掛かりはアフリカの地にあった…。
姪の汐子(しおこ)と下町で暮らす凸貝二美男(とっかいふみお)は、泥酔した公園で奇妙な光景を目撃する。白髪の老人、叫び声、水音、歩き去る男。後日訪ねてきた謎の少年は、二美男が見たのは「自分の伯父が祖父を殺した」現場だと言う。遺体の捜索を依頼された二美男は、汐子や貧乏アパートの仲間と共にとんでもない事態に巻き込まれていく――。人生に悩み迷う時、背中を押してくれる傑作長編。
桜井京介 again!「僕に、なにをして欲しいのですか」「建築探偵」シリーズ待望のスピンオフ・ミステリー!!資産家かつ絶世の美女、小鷹狩都夜子(こたかりつやこ)が自らの西洋屋敷で殺害された。捕まったのは元婚約者の橘瑞雄(たちばなみずお)。魔女と呼ばれた都夜子を「すうはい」する男のひとりだった。証言者によって全く異なる都夜子と橘の印象、そして二人の関係。真犯人は橘なのか? 彼女は本当に魔女だったのか? もつれた謎を「探偵」桜井京介が解き明かす!
平穏な住宅地。二つの家族。依頼人が起こした事件に不可解なものを感じた……。隣人殺人の裏にあるあまりにも意外な真実――土地家屋調査士の西脇ゆう子は、不動産登記や測量のスペシャリストである。横浜の牧橋家から、土地分筆・分割登記の依頼を受けた。だが、隣家との不和のため、境界がなかなか確定しない。やがて、依頼者の敷地と隣家との境界を巡る殺人事件が発生。犯人の動機に違和感を覚えたゆう子は、独自の調査を開始する。二つの家族同士の過去とは? 隣家の不登校生が見ていたものとは? そして事件の背後に隠された驚くべき真相とは!? 傑作長編ミステリー。
美貌と財産の重圧に人生を狂わせた女の執念――才能に欠ける美貌の女優・夏川薔子は、カメラの前に立つ苦痛から逃げて、京都に旅した。帰ったとき、母が事故死。だが、その死には、不審が多かった。やがて明らかになる、母の過去、そして、異母姉の秘密。これを、利用しない手はない。薔子は、京都で知った男との恋の成就と、平凡な女に戻る絶妙な殺人計画を思いついたが……。
南半球生まれのイソベルにとって初めての冬のクリスマス。町が浮かれた雰囲気になるなか、イソベルの今回のクライアントは不正告発サイトを運営する男性。予想外のことが苦手な彼はほとんど外出せず、家でジャンクフードを食べてばかり。毒殺の危険性も低いし、今回の依頼は楽勝かも! と、ロサンゼルスに来てから一番穏やかな日々を過ごしていたある朝、家を訪れると男性の姿がない。彼の母親や友人に心当たりを聞きながら探し回ると、廃屋で遺体となった彼を見つけてしまう。穏やかでシャイで正義感にあふれた彼がなぜ? 警察がなかなか手がかりを見つけられないなか、イソベルも捜査に協力しようとするが、かえって疑われてしまい!?
鮎川哲也本人による出講が目玉企画となった鎌倉小説教室。その受講者であった五人の男女は、互いにマニアックな鮎哲ファンだと知り、長編の純本格ミステリを共同創作しよう、と意気投合した。残念ながら応募した第二回鮎川哲也賞は二次予選落ちとなったものの、手応えを掴んだ彼らは、二十五年後に再会することを誓い合う。だが、長い年月は彼らに深刻な影響を及ぼしていた……。中年となった彼らの人生に、何が起きたのか。安楽椅子探偵と化したメンバーが、それぞれの人生経験を持ち寄って、不可解な謎を解き明かしてゆく。そして最後に浮かび上がった驚愕の真実とは……。 構想四十年、石川真介のライフワーク、ここに誕生。弟子から師匠・鮎川哲也に捧げる本格推理巨編。電子オリジナル作品。●石川真介(いしかわ・しんすけ)1953年、福井県鯖江市生まれ。東京大学法学部卒。トヨタ自動車に40年間勤務。1991年に『不連続線』で第2回鮎川哲也賞を受賞。推理作家・吉本紀子を主人公にして、錯綜したストーリーと堅牢な構成、女性の数奇な運命と斬新な社会テーマ、丹念な現地取材に基づくローカル描写とグルメ、そして奇抜なアリバイ崩しの長編旅情ミステリーを得意にしている。『女と愛とミステリー』(テレビ東京)、『木曜ミステリー』(テレビ朝日)でドラマ化。福井ふるさと大使。鯖江市ふるさと大使。日本推理作家協会会員。
――闇の虐待ショーをぶち壊せ!累計430万部突破のIWGP16弾!ダークウェブの深奥にある「逆隊コロシアム」。通常の手段ではアクセスできないサイトでは、競うように児童虐待動画がアップされている。「逆隊コロシアム」を潰して、その一部始終をドキュメンタリーにしたいというテレビ・ディレクターの梅原から依頼を受け、3人の虐待サバイバーの若者とともに調査に乗り出したマコトは、ある日テレビで見た子どもの虐待死のニュースが、「逆隊コロシアム」の動画に映っていた少女のことだと気づく。小さな命を救えなかった悔しさと怒りを胸に、マコトはタカシや仲間たちと巨大なウェブに巣くう獣たちに戦いを挑む。表題作のほか、池袋の路上で繰り広げられたタピオカ抗争の顛末、日本屈指のラブホ街を狙った強盗団との闘い、恋人のいない若い女性を狙ったバースデイコール詐欺を描いた4編を収録。
「化け物長屋」に住む女・お百は、人には見えないものが見える青い左目を持つ。 三十路近くになった今では、すっかりひねくれ、開き直っており、不思議な目を使って「失せ物屋」を営んでいる。 青い目に宿った山神の鱗を取りに来た子狸・焦茶丸もすっかりいついてしまい、奇妙な「失せ物探し」に精を出す一人と一匹。 そこに子狐・真白がやってきて、お百の眼の鱗を奪おうとするのだが――。
火事で家を失った十七歳のみやびは、飼い猫(自称・仙猫)のニャンコ丸とともに深川のはずれにある廃神社へ向かっていた。しかしその途中、白狐の面をかぶった怪しい人物に襲われる。 危ないところを拝み屋だと名乗る男・神名九一郎に助けられ、ふたりは居候として九一郎の仕事を手伝うことに。妖怪絡みの事件に巻き込まれていく――! 「オサキ」シリーズの人気作家がおくる、江戸人情あやかし事件帖。
旧い造り酒屋で銘酒『桜獅子』の醸造元・芦屋の桜井家は中国美術品のコレクターで、収集リスト『桜獅子名品帖』は桜井家の誇りでもあった。だが、その『桜獅子名品帖』にも記されない逸品があるという。それが中国版画の夜叉図と歓喜変である。中国の版画は、清代から蘇州で栄えた。版画は桜井家の隠居が若いとき、蘇州に遊行した折りに入手した心うつものという。その物語は意外な展開をみせ、後日譚も控えていた。