僕を熱くさせる小説は、ほとんど全てこの本に書いてある。都甲幸治のベスト書評集。とにかく面白い本を、国・言語にかかわらずひたすら読みまくる。そしてその本について書きまくる。これは、そんな「狂喜の読み屋」の戦いの記録だ。現代日本の最重要翻訳家・都甲幸治。彼の膨大な原稿から厳選したベスト書評集。読書日記、長短様々な書評、自伝的なエッセイなどから、現代の世界文学のありかたが見えてくる! 村上春樹『騎士団長殺し』についての書き下ろし書評も掲載。世界文学の今を知るための、最新ブックガイドが登場。【CONTENTS】まえがき1 2015年以降の読書日記2 日本、アメリカ、そして語りかけてくる言葉――村上春樹『騎士団長殺し』閉じた家、開いた家――坂口恭平の小説ラテンアメリカを引き継ぐ――ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』と北米の魔術的リアリズム3 世界文学をひたすら読む涙の擁護――舌津智之『抒情するアメリカ――モダニズム文学の明滅』英語の中の東欧系文学死の帝国----ロベルト・ボラーニョ『第三帝国』作家たちの声を聴く----青山南編訳『作家はどうやって小説を書くのか、じっくり聞いてみよう! 』新しいサリンジャー像----ケネス・スラウェンスキー『サリンジャー 生涯91年の真実』あらかじめ失われた父を求めて――ジョン・アーヴィング『また会う日まで』文学の再発明――ドン・デリーロ『ボディ・アーティスト』沈黙の言葉――ポール・オースター『幻影の書』偽装された自伝――ポール・オースター『写字室の旅』アメリカの崩壊――ゲイリー・シュタインガート『スーパー・サッド・トゥルー・ラブ・ストーリー』三の物語――カレン・テイ・ヤマシタ『熱帯雨林の彼方へ』新たなフランツ・ファノン----タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』すべては繋がり、循環する----いしいしんじ『海と山のピアノ』暴力と絶望――星野智幸『呪文』奇妙な師弟関係の中で----又吉直樹『火花』サリンジャーを書き直す----円城塔『バナナ剥きには最適の日々』外側の眼――筒井康隆『世界はゴ冗談』肯定の力----岩城けい『Masato』反転する河原と一般社会----木村友祐『野良ビトたちの燃え上がる肖像』4 英語を生きる英語を生きるトランプと人種差別――南北アメリカ文学に見る排除前山君のこと5 僕の好きな翻訳文学40冊あとがき