邪教の花が枯れる時、それがエジプト滅亡の時 死ぬことはなかったのだ…。紀元前一四九六年、エジプト女王・ハトシェプストは自ら建設した巨大な葬祭殿の前にたたずみ、自害した忠臣・センムトに思いを馳せていた。葬祭殿建設の最大功労者であり、愛人でもあったセンムトを、女王は忘れることができなかった。葬祭殿の一角に自らの像を刻んだことが発覚し、毒を仰いで死んだセンムトを…。それから一五〇年後、「死人起こし」と呼ばれ、かつて凄腕の墓荒らしだったパキの許に、昔の仲間が転がり込んだ。葬祭殿で死んでいるはずの女王を見たというのだ。パキの冒険が再び始まる…。 古代エジプトを舞台にした長篇英雄活劇、第2弾。●田中文雄(たなか・ふみお)1941年東京生まれ。早稲田大学卒業後、東宝入社。70年代を中心にプロデューサーとして映画製作に携わる。1974年に『夏の旅人』で早川書房SF三大コンテスト佳作入選。1975年に『さすらい』で幻影城新人賞佳作入選。1986年東宝を退社して作家専業となり、ミステリー、ホラー、SFバイオレンスなどに健筆をふるう。草薙圭一郎名義では時代小説、架空戦記も発表している。