醜い自分、気高き自分。その狭間で。天文部という居場所を見つけ、変わっていく凪。それを見てもどかしい思いを抱える羽汰は美術部の門を叩く。 だが、自分にとって美術が本当にやりたいことなのか。自分にできることなんて、この世に一つでもあるのだろうか。羽汰にはそれが分からない。 かつてなりたかった自分。いつしか失われてしまった自信。今の自分。もうその距離は、どうしようもなく離れてしまって。 体の色が変わってしまう美術部部長。とある劇に固執する二人の演劇部員。そして、どこかへ消えゆく姫宮凪――。 羽汰に憑いたメガネウラは、羽汰の何の想いに引き寄せられたのか。逃げて、逃げて、逃げたその先に答えなんてものがあるのだろうか。 理想と現実の狭間に揺れる、ヒトと虫の魂がおりなす、とある青春の物語。※「ガ報」付き!※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。