高校を中退、独り暮らしを始めたものの家賃を滞納しアパートを追い出された「グン」は、その後の放浪生活の中で謎の男「タイゼン」と出会う。タイゼンは人間がこれまで生きてきた心象風景が記録されている「道」を歩くことができるというが、グンにはその意味がよく理解できない。しかしグンはタイゼンに強引に誘われ、ある家族ひとりひとりの「道」を歩くことに。その家族は三人でコミューン「蒼穹の家」に移り住んだが、一人だけ息子を残していた。息子を排除した理由をタイゼンは探ろうとしていた。平穏な時もあるがきわめてグロテスクで危険なこともある「道」を歩くうちに徐々に判明してくる驚愕の事実に、グンは戦慄する――。インナートリップとダークファンタジーを見事に合体・昇華させた真藤順丈の傑作長編小説。