夢も妖怪も、人の心が生み出すもの。古典から現代のコミック作品まで。幅広いテキストから汲み取る、心の世界の不思議。不思議で怖い「夢」と「妖怪」は、作家にとっても読者・観客にとっても魅力あるテーマ。『雨月物語』『怪談』などの古典から現代の人気コミック・映画まで、幅広い作品をテキストにして、物語が伝えるものとそれを生み出す人間の心の謎に迫る。第一章「夢について」では、長い間夢は、神や悪魔のお告げであると考えられていましたが、近代以降は、夢は深層心理の現れであると考えられるようになってきたことを見ていきます。第二章「夢の考察」では、『邯鄲の夢』、明恵上人の『夢記』、『華厳経』の世界、河合隼雄氏が解き明かす明恵上人の『夢記』、『胡蝶の夢』を取り上げて、夢の考察を行います。第三章「夢野文学」では、アニメ映画『君の名は。』、宮沢賢治の「シグナルとシグナレス」、川端康成の『掌の小説』、夏目漱石の『夢十夜』、黒澤明監督の映画『夢』を取り上げて、それらが伝えているものを見ていきます。第四章「妖怪の造形化」では、どのようにして妖怪が造形されてきたかを知ります。第五章「妖怪の意義」では、妖怪は「共同幻想」の1つであり、恐怖を和らげるための工夫であることを見ていきます。■目次●第一部 夢物語・第一章 夢について1 日本人と夢2 夢は神や悪魔のお告げ3 夢は深層心理・無意識の現れ4 シュルレアリスム5 SF映画における夢・第二章 夢の考察・第三章 夢の文学1 『君の名は。』2 『シグナルとシグナレス』3 川端康成の『掌の小説』4 夏目漱石の『夢十夜』5 黒澤明監督の映画『夢』●第二部 妖怪物語・第四章 妖怪の造形化・第五章 妖怪の意義・第六章 妖怪物語1 『ゲゲゲの鬼太郎』2 『地獄先生ぬ?べ?』3 『雨月物語』4 『怪談』5 『怪談』の中のいくつかの作品のあらすじ■著者 佐藤義隆1948年、父光儀、母タツの次男として、長崎件大村市に生まれる。南山大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程修了。元岐阜女子大学文化創造学部教授。著書『物語が伝えるもの―『ドラえもん』と『アンデルセン童話』他』(近代文藝社、2017年)論文「『赤毛のアン』の魅力を探る」「英語と日本語の語彙の比較」他多数